研究概要 |
昭和61年3月5日から4月4日までおよび同年11月6日から21日まで、沖縄本島の北北西約60マイルのC海域(仮称)および石垣島の北約50マイルのD海域(仮称)の沖縄舟状海盆において、東海大学調査船「東海大学丸【II】世」により観測を行った。試料は海水および堆積物を採取した。また、両海域において3.5KHzPDRエコーグラムによる航走観測も行った。 海水については、水温,塩分,溶存酸素,リン,ケイ素,硝酸,亜硝酸の栄養塩および金属元素としてMnの分析を行った。水深約1500mのC海域におけるMnの鉛直分布は表層0mで0.15μg/lと高く、500mまでは0.02μg/l以下の低い値で、500mから1500mの底層まで急激に増加し0.15μg/lの値を示した。また、水深2180mのD海域では、表層0mで0.13μg/lとやや高く、500mまで、0.06μg/lと低く、900mおよび1150mで0.18および0.26μg/lと異常な高濃度を示し1300mから1800mまで0.1から0.03μg/lと低く、1900および1960mで0.2μg/lと再び高濃度を示し、2140mの底層ではやや低く0.06〜0.1μg/lの値を示した。C海域の500mから底層までのMnの増加、D海域での1000mおよび2000mの異常な高濃度については、(1)細かい懸濁粒子からの溶出、(2)堆積物からの溶出および(3)熱水活動によると考えられるがこの異常な高濃度については、(1)および(2)では考えられない濃度であり、(3)による以外考えられない。今後さらに検討を加えたい。 堆積物については、C海域において、97cmおよび83cmの柱状試料を採取した。これらの試料を1〜2cm毎に切断し、Si,Ca【Co_3】,Al,Fe,Mg等15成分の化学分析を行った。Siは17〜34%で平均27%、Ca【Co_3】は1〜23%で平均15%、Alは37〜79mg/gで平均72mg/g、Feは25〜44mg/gで平均35mg/gおよびMgは9.2〜16.7mg/gで平均12mg/gであった。 3.5KHzPDRエコーグラムについては、D海域において、エコーの記録が完全に消滅する地点を発見した。これについては、今後、広範囲に詳細に探査する予定である。
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