研究概要 |
アンチモン($$III$$)原子周囲の配位構造と$$^(121)Sb$$メスバウアースペクトルの異性体シフトや四極子結合定数から得られる"5$$S^2$$"非結合電子対(E)のP軌道性との相関を調べた。硫黄配位の化合物について異性体シフトの減少する順(P性の減少する順)は次の様であった。擬四面体型(Sb$$S_3$$E)のトリス(フィニルチオラト)アンチモン($$III$$),擬単冠八面体型(Sb$$S(-3^(short))$$$$S(-3^(long)$$E)のキサンタト錯体,〔Sb$$(S-2COR)-3$$〕(R=Me,Et,iso-Bu,sec-Bu),ハロゲノビスジチオカルバマト錯体,〔Sb($$S_2$$CN$$R_2$$)X〕(R=Me,Et,i-Bu,X=Ce,Br,I),ジチオカルバマト錯体〔Sb($$S-2CNR-2)-3$$〕(R=Me,Et,Bz,n-Pr,n-Bu;i-Bu)およびホスホロジチオラト錯体,〔Sb{$$S_2$$P$$(OR)_2$$}〕。また、擬単冠八面体型の錯体について分子構造から推定される八面体の歪みの大きさとメスバウアーパラメーターの間に関係のあることを見い出した。次に、酸素配位の酒石酸錯体、$$M_2$$〔$$Sb_2$$(tart)2〕・n$$H_2$$O(M=Li,Naに対してn=4,M=Rb,$$NH_4$$でn=3,M=Csでn=2)は、その孤立電子対が極めて大きなP性を示すこと及びメスバウアースペクトルの類似性からSb原子周囲の構造が$$K_2$$〔$$Sb-2(tart)-2〕・$$3H_2$$Oと同じ擬三方両錐型(Sb$$O_4$$E)をとることを明らかにした。またクエン酸錯体,$$K_5$$〔Sb$$(cit)_2$$〕・4$$H_2$$Oも同様の配位構造をとることを明らかにした。さらに、アンチモン($$V$$)錯体として、$$R_3$$Sb$$X_2$$(R=$$CH_3$$,$$C_6$$$$H_5$$,p-$$CH_3$$$$C_6$$$$H_4$$;X=Ce,Br,I)のメスバウアースペクトルとnmrスペクトルから、これら錯体の結合について考察を加えた。この他、Sb($$III$$)錯体について、Γ線照射効果をメスバウアー法によって検はした。
|