研究概要 |
合金触媒を用い、一酸化炭素と水素から炭化水素を合成する際の、合金触媒の反応中の挙動と反応性との関係を明らかにすることから、"触媒設計"への基礎的な情報を得ようとし、下記のごとき成果を得た。 (1)Fe-Ni合金系では、Feリッチなfcc合金が、反応ガス流通時間の増大に伴ない低級オレフィンを高選択的に生成するのに対し、bcc合金では、流通時間が増大するとパラフィンのみを生成するようになる。これはbcc合金が、反応中にε'炭化物に、fcc合金は炭素固溶体を生成するのに対応しており、反応中の触媒の構造変化、およびこれに伴う電子状態,原子配列が触媒反応性に重要な役割を果すことを明らかにした。さらにFe-Co合金系では、50at%Co合金のみが特異な生成物分布をとることを見い出した。これは50at%Co合金での規則-不規則変態と、これに伴う表面Co濃度の変化が密接な関係にあることを見い出した。 (2)Alを添加したNi微粒子(無担持)がSMSI効果を示す、【Al_2】【O_3】担持Ni触媒より高活性で、炭素数の多い炭化水素をより多く生成することを見い出し、これはNi表面層でのNi-Al合金層の生成によることを見い出した。 (3)担持触媒では、Co-SiO長周期多層膜を触媒として使用し、構造、微粒子の高分散化により、特異な生成物分布を取ることを見い出した。さらに担体酸化物の一つであるZr【O_2】の表面構造が、Zr【O_2】の結晶構造の変化に伴ない、変化することを見い出し、担持触媒の触媒反応性の改質に新たに可能性が開けることを見い出した。
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