研究概要 |
造岩鉱物,曹長石-灰長石の系列中代表的な試料を選び、薄片を製作した。つぎに、これら薄片をラングカメラを用いて、その結晶中の格子欠陥の観察を行った。その結果、格子欠陥に通常の造岩鉱物をラングカメラを用いてその欠陥を調べても、その写真は完全結晶のものに比べて、濃淡がはっきりせず、転位の分布も完全結晶のそれほどははっきりと判明しなかった。しかしその濃淡と結晶の不完全性の間にはなんらかの関連が存在するようにみえる。 つぎにこれらの薄片と接した部分の研磨片を作り、放射性同位元素22【Na_(2+)】のNacl溶液中に浸し、乾燥後電気炉中で800℃〜850℃で数日間加熱して上記元素を結晶中に浸透させた。つぎに表面を再研磨し、原子核乾板をもちいたオートラジオグラフィを使用して上記元素の結晶中への浸透の様子を撮影した。その結果ラングの方法とオートラジオグラフィの方法の両者で得られた写真の濃淡に相関があることが判明した。 以上の現象はNa元素が結晶中に一様に拡散するのはなく、結晶中の転位等の存在する場所に選択的に濃集することを示している。
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