本年度は、前年度までに行なったZr【O_2】-【Y_2】【O_3】系に関する総括を行ない、以下の成果を得た。 (1)溶解法で作成したZr【O_2】-【Y_2】【O_3】系の靭性値Kicは【Y_2】【O_3】濃度に極めて敏感であり、〜1.8mol%【Y_2】【O_3】の組成で最高値〜15MPa【m^(1/2)】を示す。 (2)Zr【O_2】-【Y_2】【O_3】系ではKicの組成依存性が溶解材と焼結体とで極めて良い対応を示す。この結果から、溶解材を用いた実験室的な小規模な研究が実用材の開発にも有用であることが示された。 (3)Kicの高い【Y_2】【O_3】濃度2mol%付近のZr【O_2】-【Y_2】【O_3】は、熱処理によってKicの低下が起る。これは、熱処理中に生じる正方晶-単斜晶マルテンサイト変熊によるものである。 以上の成果は、1986年9月に東京で開催されたジルコニア国際会議で発表された。 (4)Zr【O_2】-【Y_2】【O_3】の無拡散型c-t相変態は極めて特異な性格を有している。高温の立方晶相単相領域から急冷すると、先ず試料全面にドメイン構造が現われ、その後板状もしくはレンズ状のt′-Zr【O_2】が形成される。ドメイン構造はプレマルテンサイト相、板状あるいはレンズ状のt′-Zr【O_2】はマルテンサイト変態によって生成した正方晶相と解釈された。 この成果は1986年8月に奈良で開催されたマルテンサイト変態国際会議において公表された。 (5)Zr【O_2】-Ce【O_2】系ではCe【O_2】濃度〜8mol%でKic値がピークをとることが分った。しかし、この系では溶解材と焼結体のKicの組成依存性の対応がよくない。この理由は、Zr【O_2】-Ce【O_2】系で溶解材に大きな組成偏析が生じるためである。
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