研究概要 |
置換基効果を検討するために、5H-ベニゾフェノチアジン-5-オン誘導体のポーラログラフ的還元反応を行って、還元反応機構と半波電位に及ぼす溶媒の影響について考察した。いずれの化合物もDMF溶媒中で明瞭な2段波を示し、第1波及び第2波の半波電位はハメットの〓値と良好な直線関係を示した。なお、5H-ベンゾフェノチアジン-5-オンのサイクリックボルタモグラムの結果から5H-ベンゾフェノチアジン-5-オンの第1波の還元過程は可逆であり、第2波の還元過程は不可逆であることから、ポーラログラフ的還元機構を明らかにした。ハロゲン化反応については、ベンゾフェノチアゾンおよびベンゾフェノキサゾンと1.3-ジョード-5.5-ジメチルヒダントインによる沃素化反応を行って反応性について検討を行った。いずれも温和な條件下で反応が進行し、好收率で沃素化物が得られた。アミノチオフェノールと5-置換-ナフトキノンとの反応によって1-又は4-置換-ベンゾフェノチアゾン誘導体,2,3.6-トリ置換-ナフトキノンとの反応によって2.6-ジ置換,3.6-置換-5H-ベンゾフェノチアジン-5-オンおよび7-置換-ベンゾ〔a〕〔1.4〕ベンゾフェノチアジノ〔3.2-a〕フェノチアジン誘導体が得られた。又2.35-トリ置換-ナフトキノンとの反応により1.6-ジ置換,4.6-ジ置換-ベンゾ〔a〕〔1.4〕ベンゾチアジノ〔3.2-C〕フェノチアジン誘導体,2-アニリノ-1.4-ナフトキノンとの反応で6-アニリノ-5H-ベンゾ〔a〕フェノチアジン-5-オン誘導体が合成された。他方、アミノフェノールと5-置換-2.3-ジクロル1.4-ナフトキノンとの反応によって1-又は4-置換-5H-ベンゾ〔a〕フェノキサジン-5-オン誘導体が合成された。さらに2-アミノ-3-オキシピリジンとキノン類との反応によって5H-ピリド〔a〕フェノキサジン-5-オン誘導体を合成した。
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