研究概要 |
(1)高分子鎖のコイル-グロビュール転移の理論的研究 (イ)高分子鎖の内部凝集の仕方を作用する力のタイプで転移の基本型に分類した。(A)Van der Waals力(B)飽和性化学結合(C)溶媒との親和性による力(D)静電相互作用(E)トポロジー的相互作用 (ロ)高分子添加によるコイル-グロビュール転移の可能性を理論的に示し、その計算機実験により、添加高分子の最密パッキング前でコイル-グロビュール転移が起こることを見い出した。 (ハ)飽和性化学結合をもつアクリル基を側鎖に導入した粘着性高分子を例にとり、計算機シュミレーションより、グロビュール内の密度分布や温度転移の特性を具体的に示した。これ等の高分子溶液では、濃度が高くなると、分子内のみならず分子間の水素結合による会合体が形成され、粘性率,浸透圧などの物理量に強い濃度依存性が現われる。 (2)色素ラベル高分子の合成 スチレン系高分子鎖にアントリル基,ピレニル基,ローダミン基,フルオレッセン基などを導入した。 (3)POE添加系におけるスチレン系高分子鎖のコイル-グロービュール転移 (イ)POEを添加高分子として、スチレン系高分子に導入された色素のケイ光偏光解消の体積分率依存性を測定した。ここでは、約55%POEにおいて転移が観測された。これは上記の理論を支持する。 (ロ)(イ)と同一の条件で、スチレン系高分子に導入された色素の自己消光速度を測定した。約50%POEで転移が起こり、(3)(イ)とよく一致した。 以上より、(1)(イ)は月刊フィジクス,(1)(ロ)(ハ)はJ,Chem,Phys.,(3)(イ)はEur.Polym.J.に印刷され、(3)(ロ)はEur.Polym.J.に印刷中である。
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