研究課題/領域番号 |
60470109
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三田 達 東大, 工学部, 教授 (10013632)
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研究分担者 |
岡本 彰夫 東京大学, 工学部, 助手 (90013721)
古知 政勝 東京大学, 工学部, 助手 (90013705)
堀江 一之 東京大学, 工学部, 助教授 (10013690)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 芳香族ポリマー / エキシマー / 凝集構造 / 分子運動 / 光反応 / ポリパラキシリレン / ポリ(ナフタレンジカルボン酸エチレン) / ポリエーテルスルホン |
研究概要 |
主鎖に芳香環をもつポリマーの凝集構造や分子運動を発光プローブ法を用いて調べ、さらにこうした分子運動の固相光反応への影響を検討した。 側鎖芳香環をもつポリスチレンは固相で強いエキシマー発光を示すが、その強度は熱処理で増加し、凝集構造が密になったことを示す。発光の温度依存性からエキシマー形成サイトの量を見積ることができた。これに対し、ポリスチレンの主鎖芳香族異性体であるポリパラキシリレンでは、モノマー発光もエキシマー発光も小さく、結晶性の高いこのポリマー中のベンゼン〓の面間隔がエキシマー形成に不適当と分った。長波長の370および408nmの蛍光はいずれも加熱で増加し、脱水素にもとづく系中の微量のスチルベン構造によるものと分った。とくに後者は急冷では大巾に弱くなるが徐冷では変化せず、〓んだ結晶格子の効果があるものと考えられる。非晶性のポリ(ナフタレンジカルボン酸エチレン)ではエキシマー発光が強いが、エキシマー形成サイトの分率はポリスチレンよりかなり低く10%程度であった。しかし熱処理でこの分率が増加する点では類似している。 分子運動と固相反応の関係の研究はポリエーテルスルホンで行った。このポリマーは室温では光で分子鎖が切断するが高温では架橋が優先することが分った。反応の量子収率は溶液中より2桁低く、固相反応が分子運動支配であることを示す。架橋速度より切断速度の温度依存性が小さく、前者の反応の方が、より大きな分子運動が関係していることを示唆する。反応速度のアーレニウスプロットはTgより50℃ほど低い170℃に折れ曲りを示し、ここで分子運動のモードが変ったことを示す。脂肪族の固相反応の多くがTgで大きく変るのとやや様相を異にし、芳香族ポリマー固有の現象とも考えられるが、確定するには至らなかった。
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