研究概要 |
本研究においてはSDSの類縁体の一般構造式、n-【C_(12)】 【H_(25)】(OC【H_2】 C【H_2】)mOS【O_3】 【^-X^+】において、(1)m=0;X=Liおよび三種のアルカノールアンモニウムそして(2)m(平均)=7あるいはm=2から8の偶数;X=Naの二群のケースについて、それらと生体膜蛋白質の相互作用を検討してきた。その結果、これらのSDSの類縁体を適宜に選んで可溶化剤として使用するとラットのコラーゲン、ホウレン草のチラコイド膜蛋白質あるいはイヌ腎(【Na^+】,【K^+】)-ATPaseの可溶化状態を可成の程度まで任意に制御できることを明らかにする事が出来た。つまり、分子集合体を構造の階層性に応じて段階的に解離させることが可能になった。従って、ほぼ所期の目的を達成出来たと考えている。今後、生体膜蛋白質の研究において、このアプローチは多くの人々によって愛用されるようになると信じている。62年度においては、上記の三種のドデシル硫酸アルカノールアンモニウム塩が生体膜蛋白質に対すると同様に、水溶性の球状蛋白質に対しても程度を異にする変性作用を呈するものか否かを検討する対照実験を実施する。本研究の成果は四報が既に印刷済み、他の一報が受理されている。
|