研究概要 |
当量過剰の過マンガン酸カリウムで予め【VI】価に調整した低濃度(1×【10^(-4)】mol/l以下)ネプツニウム硝酸水溶液を30%TBP(70%n-ドデカン)と接触させ溶媒抽出した後に、エキシマ・レーザーの249nm光を照射してネプツニウムを【V】価に光還元し、水相へ逆抽出する実験を実施した結果、光化学法による原子価調整法を従来の溶媒抽出法と組み合わせることにより比較的容易にネプツニウムの逆抽出が実現できることが判明した。核燃料再処理への応用を考えると、抽出装置中でのレーザー照射方法が重要であるとの視点からミキサ・セトラ装置内での照射を想定して 1.非混合状態(セトラ内)での有機相・水相両相への照射,2.非混合状態での水相のみへの照射,3.混合状態(ミキサ内)での照射,の3条件を実験的に比較した結果、見かけの逆抽出速度は3の場合が最大であること、2では逆抽出が余り期待できないことが判明した。これは、有機相中での反応が大きく寄与していること、有機相/水相間の物質移動速度の影響が大きいことを意味している。この結果を得て、3の条件下での見かけの逆抽出速度を、硝酸濃度、温度をパラメタとして測定した。また、各条件での逆抽出速度の光吸収エネルギー依存性から平衡還元率を算出し、暗反応時の平衡還元率と比較検討することにより混合状態での光還元を硝酸-亜硝酸間の光分解・熱化学平衡反応と亜硝酸によるネプツニウムの還元の2段階反応で説明できる見通しを得た。実験データを解析することにより得た光還元時の平衡還元率および還元速度を用いることにより、ミキサ・セトラ型抽出器内でのネプツニウム濃度分布を計算できるため、従来の抽出計算コード(動力炉・核燃料開発事業団開発のMSTRUコード)を改良してこれらのデータを組込み計算を実施した。この結果1〜2段のレーザー照射によって、【VI】価の濃度を顕著に低下でき、ネプツニウムを水相に回収可能と判明した。
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