研究概要 |
1.D-2-アミノピメリン酸の代謝 ホウビシダから単離したD-2-アミノ-3,4-デヒドロピメリン酸をトリチウム化して得られた【^3H】-D-2-アミノピメリン酸をホウビシダの根茎に与え、その変化を追跡した。しかし、数日間保温しても、その極く一部が、構造不明の2種類の化合物に変化したのがみられたのみで、大部分はそのままの形で残った。次項とも関連するが、D-2-アミノピメリン酸の代謝活性は極めて小さいものと考えられる。 2.D-2-アミノピメリン酸と関連アミノ酸の生合成 〔U-【^(14)C】〕グルコース,〔1-【^(14)C】〕酢酸,【^(14)CO_2】,〔U-【^(14)C】〕グルタミン酸等を、季節を変えて採集したホウビシダの各部位に減圧浸透法で投与した結果,早春あるいは秋に採集したホウビシダの根茎に与えるのが最も効果的であることがわかった。この時まずL-2-アミノ-4-ヒドロキシピメリン酸にとり込みがみられ、十分なとり込みがあった時のみ、他の2種のD-型アミノ酸,2-アミノピメリン酸と2-アミノ-3,4-デヒドロピメリン酸へ、ほぼ同時に、しかも同程度の放射能が検出された。この結果を上記3種のアミノ酸のプールサイズと考え合わせ、一番先に合成されるのはヒドロキシ型であることを推論した。 3.生合成とホウビシダ節内種間の系統 前項の結果から、ホウビシダ節のうちデヒドロ型をもつものともたないものは形態的な特徴にも明瞭な差異があることが確認され、系統を議論した。 4.D-アミノ酸の生理活性 DL-2-アミノピメリン酸を光学分割してD-型を調製し、坑菌、坑カビ性を初め実験動物を用いた各種の薬理試験に供した。しかし今のところ、特に著しい作用は見出されていない。
|