研究概要 |
コネクチンは本研究者が1977年に発見した骨格筋の弾性タンパク質で分子量300万、長さ1μmにおよぶ。未変性で單離されているのは、分解物(分子量210万)のβ-コネリチンで、母分子α-コネクチンは、塩に溶けず單離されていない。本研究で、ごく少量のα-コネクチンを分離できたが、たえずβ-コネクチンに分解し、研究の対象にならなかった。 β-コネクチンから人工的につくったファイバーは、X線回折からβシートを含んでいることが判明した。これは、溶液状態で、円偏光二色性からえたβ-シート70%,ランダムコイル30%の結果と一致する。コネクチンファイバーは、もとの長さの30%までは可逆的に伸長し、張力を発生した。温度依存性からエントロピー弾性とは認めがたく、βシート構造を介しての弾性とみなされる。より詳細な構造解析は、これからの問題である。 βアクチニン存在下でアクチンフィラメントを音波処理すると、短かいアクチンフィラメントが得られる。これにβ-コネクチンを加えると、白湯した。電子顕微鏡下で見ると、短かいアクチンフィラメントは網目構造を形成していた。この両者の結合はKCl濃度に依存する。80mMKClで結合するが、120mMになるとほとんど解離する。さらに、80mMKCl下で、ミオシン頭部S1をアクチンフィラメントに加えて矢じり構造をつくらせると、コネクチンは結合できなくなる。コネクチン・アクチンの網目構造にミオシンS1を加えると、矢じり構造ができてほぐれてくる。これらのことから、コネクチンはミオシンとアクチンの反応-滑りの原動力-を何ら抗げないものと思われる。サルコメア内で、コネクチンはアクチンフィラメントと弱く結合して、いわばガイドラインの役割をするものと思われる。他〓はミオシンフィラメントに結合している。このように、サルコメアの新しいモデルが提出されるはこびとなってきた。
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