研究概要 |
1.青森県りんご試験場に保存されている34品種を新たに供試し、自家受粉およびジベレリン処理による結実率を調査した。大部分の品種(31品種)は自家不結実性と認められたが、自家和合性の高い品種はクランダール(26%),蝦夷衣(23%),また、他動的単爲結果性の高い品種はスタークスプレンダー(55%),蝦夷衣(33%)であることが明らかとなった。なお、自家和合性と単爲結果性との間に、特定の関係は見られなかった。 2.自家和合性の高い品種(恵)と低い品種(紅玉)を供試し、自家受粉と他家受粉による花粉管伸長について調査した。いずれの品種においても、自家受粉された花粉管の先端が花柱内で肥厚する傾向の強いことが認められた。また、他家受粉された花粉管の伸長速度は自家受粉されたものに比較して早い傾向が認められたが、今後更に検討を重ねたい。 3.種間交雑における種子稔実率ならびに受精胚珠の発育停止期には組合せ間に顕著な差異が認められた。印度×ワリンゴでは受粉後14日目以降に胚珠の70%が、また、印度×エゾノコリンゴでは60日目以降に約20%のものが発育を停止した。印度×エゾノコリンゴの末熟胚(受粉後約80日)を培養したところ、幼植物の生長や茎葉の分化がみられた。なお、46〜80日間の低温処理(4℃)が生長促進に有効であった。 4.葯培養による胚様体形成率の高い品種は王鈴(7.3%),リチャードデリシヤス(5.2%),レッドキングデリシャス(4.1%)などであったが、発根が全く認められず、完全な植物体分化をみるに至らなかった。 5.自家結実性の高い品種(恵)の無種子果(GA処理による単爲結実果)および有種子果(自家受粉による自家結実果)の品質や貯蔵性について比較検討したが、前者の大きさは後者よりやゝ小さいものの、糖度,硬度に差異は認め難かった。
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