研究概要 |
1)果樹試験場盛岡支場および青森県りんご試験場に保存されているそれぞれ75および35品種について調査した. 自家受粉による自家結実率の高い品種としては,'Poritan''Antonovke'など, またGA処理による単為結実率の高い品種としては'de Ollo''Tetofsky'などが新たに見出された. 2)'恵'と他品種との交雑による雑種集団を供して, 自家結実性の遺伝性(自家結実個体割合)を調査したが'恵'と'Golden Delicious'との組合せで高かった(平均13%). 遺伝性の指標となる反復率(repoatobility)を算出した. 自家受粉による自家結実率では70〜80%とやゝ高かったのに対し, GA処理による単為結実率では20〜40%と低かった. 3)単為結実率は樹体内外の条件によって大きく変動するが, 特に6月の高温(平均気温18°C以上)での落果率は著しく, 100%に達することが多い. 4)'恵'では自家受粉の24時間前に不活性花粉で他家受粉した場合, 自殖種子の採種効率は約2倍に高まった. また, 開葯前の花粉を懸濁花粉(5%蔗糖液)として交雑に供することの有効性が明らかとなった. 5)珠心組織からのカルス形成にはMS基本培地にオーキシン類と低濃度のBAPを添加したものが適していること, また低頻度であるが珠心カルスから不定胚形成がみられた. 培養シュートおよび珠心カルスに由来する2種のプロトプラストの融合による, 雑種プロトプラストが低頻度ながら出現し, コロニーを経てカルスが形成された. 6)'国光'では慣行受粉法と同程度のけいじつを確保するに要する/花当り受粉花数および種子の数は50個および5個以上であって, 種子数の増加に伴って最低果重が増加する. '恵'では, 他家受粉果に比較して自家受粉果および単為結実果の皮層部割合は果心部割合よりも大きかった. ただし, 果実品質と貯蔵性には老異が認め難かった.
|