研究概要 |
コメの利用目的を食用以外に求めた場合、合理的な省力化、省資材化により、かつ、安定的超多収によって生産コストの低減を図ることが必須条件とならう。そこで、日本稲を6品種、韓国稲を2品種計8品種を供試して、従来の稚苗の機械移植栽培と湛水土中直播栽培を行い生育収量の比較を行った。 1.生育概況は、いずれの品種も生育前半は湛直区が茎数、LAIとも大きな値を示したが、出穂後における薬身の枯れあがりは韓国稲が日本稲よりも早くみられた。 2.全乾物重および収量は概収移植区が湛直区を上廻った。なかでも韓国稲2品種とアケノホシは高い値を示し、これらは多肥による増収がみられた。 3.収量構成要素から見ると、籾数と登熱歩合とは負の相関があり、収量と全乾物重,モミ/ワラ比,収穫指数,Sink/Source比等との間には高い正の相関がみられるが、効率的に湛直よりも機械移植が優った。 4.出穂期におけるLAIと収量との間には相関はみられないが、両栽培法共に日印交雑種において葉身当りの穎花生産効率の高いことが指摘された。 5.光合成速度は、韓国稲2品種が高い値を示すが出穂後は急速に低下する。アケノホシは比較的高く登熱後期までその活性が保持された。 6.草型は止葉にその特徴がみられ、韓国稲2品種は直立葉型を示し受光態勢は良好である。 7.湛直における苗立ちの安定度からみた播種深度は2.0cmが限度である。 8.発芽出芽率は、播種深度が深まると低下するが、土壌貫通力は韓国稲より日本稲が優った。 9.出芽時において、鞘葉、中茎に費される胚乳養分量は韓国稲の方が多く、器官別造成比率の割合が高い。 10.労働生産性は、単位時間当り移植区で16.0kg,湛直区で17.9kgとなり、湛直区が高くなった。 11.今後は、両年における収量差の解析、穎花重におかれる要因について検討を加え、湛直栽培での増収により、土地,労働生産性の向上をはかり、暖地での低コスト稲作の技術を確立したい。
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