研究課題/領域番号 |
60480036
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田中 典幸 佐賀大, 農学部, 教授 (20039316)
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研究分担者 |
有馬 進 佐賀大学, 農学部, 助手 (90140954)
窪田 文武 佐賀大学, 農学部, 助教授 (50136602)
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キーワード | 根系機能 / 発根能力 / 新根形成 / 根と収量 / 競合力 |
研究概要 |
61年度に計画した四つの課題は昨年に続き新しい進展をみた。すなわち、60年度に開発したRoot Trap法を活用して、水稲を対象に根系の分布ならびに根系機能の生育ステージに伴う消長とそれが収量成立に及ぼす影響について解明することができた。第1課題では、水稲においては出穂後の登熟期になお高い発根能力を保持しており、新たな根圏領域の拡大によって、新根の形成が再び促されると共に、収量成立に大きく影響することが判明した。登熟期における新根の発生は根のsink圧の増大を促し、1株着粒数と玄米重の減少に連って、収量が低下する要因となるとの知見を得た。第2の課題であった現地水田の調査は県内唐津市の死米発生低収田と佐賀郡の多収田を比較調査の対象とし、根群機能の生育別消長をRoot Trapを用いて明らかにし、両水田における根群機能ー収量成立との相互関係について新知見を得た。 第3の課題については、日本稲;日印交雑稲各品種の圃場条件下における競合力を物質生産の面から検討した。その結果、日本稲と日印交雑稲が競合条件下で生育した場合、日印交雑稲の競合力を持つ傾向が認められた。例えば、日本晴と水原258号の生育は出穂期頃までは旺盛であったが、品種間競合が強まる生育後期には被圧される傾向を示し、収量は大幅に減少した。一方、日本晴は生育後期において、生育が旺盛になり、収量も増加した。これは両品種の受光態勢の変化に伴う、生育後期の群落光合成産物の増加率の差、さらにそれによって生じた地下部の生育差によるものと思考した。 第4の課題においては、水稲根の伸長特性を解明する目的で、日本稲、印度稲、日印交雑稲を対象として、水耕法によって種子根の塩類濃度に対する生育反応を解析した。その結果、濃度と伸長量の関係は、生態型によって明白な差異が認められた。また、各生態品種の塩類反応の大きさは、前回明らかにしたcoiling発生率と符合した。
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