研究概要 |
果実の収量と品質にはNと炭水化物栄養が密接に関係しているが、しかし、基本となるN栄養と光合成あるいはその物質代謝との関連で追究した報告は極めて少ない。本研究は昭和60年と61年に日本ナシ(幸水),リンゴ(つがる),ブドウ(デラウェア)について、安定同位元素(【^(15)N】と【^(13)C】)を用い、春季,夏季,秋季のN栄養と果実の収量・品質との関連性をN代謝と光合成代謝の両面から究明し、高品質・多収の理論と技術を確立しようとするものである。 1.日本ナシ,リンゴ,ブドウの光合成における光飽和点は35〜40Klx,28〜30Klx,30〜35Klxであり、また光合成の適温は25〜27℃,18〜20℃,23〜25℃である。 2.N吸収の適温は日本ナシが24〜26℃,リンゴは16〜18℃,ブドウは22〜24℃であり、日本ナシは12℃以下の低温と35℃以上の高温で、リンゴは8℃以下と30℃以上、ブドウは10℃以下と35℃以上でN吸収は顕著に抑制された。 3.日本ナシ,リンゴ,ブドウとも新梢伸長期の光合成は春季の多N施用で最も高くなるが、果実の肥大成熟期の光合成と根の活性は春季,夏季とも適N施用で高く、無Nで顕著に低下された。 4.冬季及び春季の施用Nは細根と芽に、夏季の施用Nは葉と新梢に、秋季の施用Nは旧年枝と大・中根に特に多く吸収・分配される。なお春季と夏季にNを過剰施用すると全N吸収量の60〜70%が生長期の葉及び新梢に利用され、新梢の徒長と充実不良、果実の晩熟と糖分低下が引き起され、品質が著しく劣変する。 5.光合成産物の転流・分配は春季及び夏季,特に夏季の多N栄養下で根幹、大・中根等の旧成部と葉に多く、果実では顕著に少ない。適N下では果実新梢、細根等新成部に、無N下では新梢、果実と旧年枝にも多く分配される。 6.果実への糖の取り込み率は夏季の多N下で著しく低く、適N更に無Nで高くなり、有機酸とアミノ酸は糖と逆の傾向にあった。今後は糖,有機酸,アミノ酸代謝の面からも追究したい。
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