研究概要 |
(1)イネ籾枯細菌病菌の血清学的特異性:イネ籾枯細菌47菌株を用い、ゲル内拡散法によって血清学的性質を検討したところ、いずれの菌株も類似した性質を示した。しかも、イネ籾枯病菌血清は他種細菌の加熱抗原とは全く反応せず、特異的であった。 (2)蛍光抗体法によるイネ籾枯細菌病菌の検出法の確立:抗イネ籾枯細菌病菌血清から常法によりγ-グロブリン分画を得、それに蛍光色素を結合させて蛍光抗体を作成した。この蛍光抗体を用いてイネ籾枯細菌病菌の検出を試みたところ、イネ籾枯細菌病菌は蛍光顕微鏡下で特異的に蛍光を発し、検出・定量が可能なことを確認した。 (3)イネ籾枯細菌病菌による抗菌物質の産出:供試したイネ籾細菌病菌のうち、大部分の菌株は、トマトかいよう病菌,ナス科植物青枯病菌,イネ白葉枯病菌など、指示菌として用いた7種類の植物病原細菌に対して抗菌活性を示した。この抗菌物質産生性と病原性の有無との間に関連性は認められなかった。 (4)ニトロソグアニジン(NTG)処理によるイネ籾枯細菌病菌の変異性:イネ籾枯細菌病菌をNTGで処理することにより、色素産生性,ジャガイモ腐敗能,イネに対する病原性,血清学的性質,および抗菌活性の変異性について検討した。その結果,誘発変異株の黄緑色素産生性,抗菌活性およびイネ幼苗腐敗能の各性質は正に密接に関連しているが、これらの諸性質とジャガイモ腐敗能との関連性は密接でないことが判明した。 (5)NTG処理により誘発した変異株の持つプラスミド:誘発変異株の内から、諸性質の異なる30菌株を選び、それらのプラスミドを検出し、諸性質とプラスミドの種類との関連性を検討した。親株は50Mdal,80Mdalおよび110Mdalの3種類のプラスミドを持っていたが、変異株の中には全てを失ったもの、一部欠落したものなどが見られた。
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