研究概要 |
西日本を中心にして, 各種作物のウィルス病の病原解析を行った結果, 多数の作物で2種あるいは3種以上のウィルスが混合感染してしいた. ウリ科作物ではcucumber mosaic virus(CMV), watermelon mosaic virus-2(WMV-2)及びzucchini yellow mosaic virus(ZYMV)の混合感染がしばしば認められ, トマト, ピーマンではtobacco mosaic virusとCMVが, ジャガイモではpotato virus Y, potate virus Xおよびpotato leaf roll virusが, アブラナ科野菜類ではturnip mosaic virusとCMVが, イチゴではstrawberry mild yellow edge virus(SMYEV)とstrawberry mottle virus(SMV)が主として発生し, これらの混合感染もしばしば認められた. ニンニクではgarlic latent virus(GLV)とgarlic mosaic virusの混合感染株率が高かったが, 他のネギ属植物ではGLVの単独感染が多かった. 人工接種条件下でのpoty virusと他のウィルスとの混合感染により現われる病徴は, (1)poty virus以外のウィルスによるもの(WMV-2+CMV, ZYMV+CMV, ZYMV+CGMMV:寄生植物, キュウリ, PVY+TMV, PVX+TMV:寄生植物, タバコ, PVY+TSWV:寄生植物, トマトなど), (2)両方のウィルスにるもの(BYMV+CMV, BYMV+MDV:寄生植物, ソラマメ), (3)poty virusによるもの(TuMV+CMV, TuMV+BBWV:寄生植物, カブ)および(4)新らしいタイプのもの(WMV-2+TobRV)の4タイプに別けられた. CMVとWMV-2あるいはZYMVと混合感染したキュウリではCMV濃度が極端に増加したが, WMV-2あるいはZYMV濃度は極端に減少した. このような植物からのCMVのアブラムシによる伝搬は単独感染植物からの伝搬に比べて約27%増加した. また, ZYMVとCMVが混合感染したキュウリからはZYMVのみならずCMVも高率に接触伝染することが判明した. なお, SMYEVとSMVは感染葉からの二本鎖RNA分析により同定出来ることが示唆できた.
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