定繊繰糸過程において、理論的解析のための従来の仮定、(1)使用原料繭の解じょ率は100%か、それに近い値をとる。(2)接緒直前の繊度は常に細限繊度に等しい、(3)接緒直後の繊度の増加量は接緒時の繭糸繊度に等しい、を検討し、解じょ率が100%の原料繭であっても落緒直後の繊度の半分ほどは細限繊度以下になり、仮定(2)(3)は必ずしも成り立たないことがわかった。そこで、新に現実データに適合する接緒モデルを作成し、接緒直前の生糸繊度と接緒直後の生糸繊度の理論分布を導き、シミュレーションにより検討した結果、接緒直前の生糸繊度分布は、繭糸繊度がなだらかに減少し細限繊度に達した場合と、落緒によって細限繊度以下になった場合が考えられる。したがって、落緒直後の生糸繊度分布は落緒時繭糸繊度と落緒直前の生糸繊度の差の分布であり、接緒直前の生糸繊度分布は、細限繊度より細くなったという条件の下での分布となることが知られ、シミュレーションによって良く適合することが確められた。又、接緒直後の生糸繊度分布は、接緒直前の繊度が細限繊度に等しい場合と、落緒直後の繊度に等しい場合が考えられる。したがって、接緒直後の生糸繊度分布は落緒直後の生糸繊度、接緒時繭糸繊度と初期繊度の和の分布に細限繊度以下にならない割合で初期繊度分布が加えられたものとなる。シミュレーション実験を行い、良く適合することが知られ、定繊繰糸過程での接緒のモデルを与えることができた。又、これにより定繊生糸の繊度変化を管理するための重要な指針を与えることが知られた。
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