研究課題/領域番号 |
60480053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 修一 東北大, 農学部, 教授 (70005586)
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研究分担者 |
斉藤 祥子 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (00125551)
川村 美笑子 東北大学, 農学部, 助手 (70094745)
駒井 三千夫 東北大学, 農学部, 助手 (80143022)
古川 勇次 東北大学, 農学部, 助教授 (60005626)
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キーワード | フェオホーバイド / 癌の光治癌法 / 48-バナジウム / FM3A / 殺細胞作用 / リポソーム / ポジトロンCT |
研究概要 |
フェオホーバイドを癌の光治療法に応用するためには、癌に対してより親和性の強いフェオホーバイドの誘導体をつくり出すことが大切であり、またこの物質が脂溶性であることから、生体への投与方法についても検討する必要がある。そこで本年度は、とくにこれらの点について実験的に追究した。一方、フェオホーバイドの癌組織への親和性という特性を癌の診断に応用する目的でポジトロン核種である【^(48)V】をフェオホーバイドにキレートさせた化合物を合成し、オートラジオグラフィーによる癌組織への集積性を検討した。その結果、次のことが明らかにされた。すなわち(1)ピロフェオホーバイド二分子からなる二量体はフェオホーバイドに比較して、アルゴン・レーザーを用いた殺細胞効果はやや弱いが、その癌組織への集積性が高く、集積時間もフェオホーバイドの2分の1と速く、親和性が強いことが分った。なお二量体は癌組織中で一部フェオホーバイドとピロフェオホーバイドに分解していることが示唆された。(2)フェオホーバイドを極少量のジメチルスルホキシドに溶解し、これを卵黄レシチン-リン酸バッファーと混合し、超音波処理によってリポソーム内にとりこませたところ、このリポソーム化したフェオホーバイドは静注が可能となり、体内への吸収をはるかに向上させることができた。(3)チタニウムのプロトン照射によってできる【^(48)V】(バナジウム)をフェオホーバイドに結合させた化合物を作成し、これをFM3Aを皮下にもつ担癌マウスに注射し、経時的に各臓器や癌組織への累積量をγ-カウンターで測定した。その結果、バナジウム-48-硫酸では肺臓に集積するのに反し、バナジウム-48-フェオホーバイドは血液や肝臓にとりこみが多く、時間の経過とともに癌への蓄積が増大していき、ポジトロンによるCTによる診断ができる可能性が強いことが明らかになった。
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