研究課題/領域番号 |
60480059
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
外村 健三 阪府大, 農学部, 教授 (90124867)
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研究分担者 |
簗瀬 英司 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20158033)
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キーワード | エタノール / アルコール醗酵 / Zymomonas細菌 / シャトルベクター / 形質転換法 / ラフィノースオペロン / ラクトースオペロン / プロモーター |
研究概要 |
エタノールの生産はこれまで酵母に依存してきたが、エネルギー資源としてのエタノールを生産するためには、酵母よりもエタノール生産性が高い Zymomonas細菌(Z菌)の方が有利と考えられる。しかし、Z菌は酵母に比べて醗酵性糖の範囲がせままいなどの短所があり、菌株の改良が必要である。ところが、Z菌の遺伝生化学的基礎知見が乏しいため、育種方法が限定され、これまで、研究の発展が妨げられてきた。本研究は、遺伝子組換え技術を用いるZ菌の育種に必要な遺伝生化学的基礎知見を得ようとするものである。2年目にあたる61年度に実施した研究の内容を要約すると、次の通りである。 1.60年度の研究において作製したZ菌と大腸菌間のシャトルベクターを用いて、Z菌の形質転換法を開発した。このことにより、Z菌の宿主ーベクター系はほぼ確立できた。 2.Z菌の醗酵性糖の種類の拡大を目的として、開発した宿主ーベクター系を利用して、大腸菌由来のラフィノースおよびラクトース醗酵性遺伝子をZ菌へ導入した。しかし、大腸菌由来のプロモーターの支配下にあるこれら遺伝子はZ菌内で発現は微弱であり、発現にはZ菌のプロモーターが必要であった。 3.Z菌のプロモーター検索用ベクターを作製し、これを用いてZ菌の染色体由来のプロモーターを多数分離した。 4.Z菌のプロモーターを挿入したラクトース醗酵性遺伝子は、Z菌内で高い発現を示した。また、これらZ菌のグルコース生育菌体をラクトースやホエー培地に加えることにより、エタノールが生成された。すなわち、Z菌に新たに、ラクトース醗酵性を付与することができた。
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