研究概要 |
1.C【O_2】ガス交換 (1)測定法 名古屋大学農学部構内に植栽されたヒノキ林木(12年生,樹高4m;生枝下高直径5cm)のC【O_2】ガス交換を、外気温度に同調された状態で通気法により、昼夜連続で測定している。(2)結果 月単位で見た場合、日地上部純生産量と日積算照度との関係は双曲線で近以された。しかし、土壌含水率の低下が、純生産量をこの純生産量-積算照度曲線より期待される純生産量の推定値よりかなりの程度低下させる要因となっていた。(3)測定法の改良点 光合成速度は通気量に影響される。1987年1月まで、通気量は40【m^3】【h^(一1)】であった。この通気量だと、同化箱の出入口間のC【O_2】濃度差が最大60ppmにもなってしまう。現在の通気量は70【m^3】【h^(-1)】である。 2.リターフォール量 ヒノキ(25年生),カラマツ(15年生),スギ(15年生)の各人工林において、大きさの異なる5本ずつの供試木を選び、その地上部を寒冷紗のネットで覆うことにより、単木のリター量の測定を行った。この結果、単木の年間リター量l〔g(dry ut)/tree yr〕と単木サイズx(胸高直径または生枝下高直径)の関係は、いずれの林分においてもべき乗式l=a【x^b】で近似されることがわかった。べき指数bの値はカラマツとヒノキで約2、スギでは2〜4であった。カラマツとヒノキでは、落葉量、落枝量は葉量、付着枯枝量とそれぞれほぼ正比例関係にあることが推定された。また、同じ単木サイズでの単木リター量を林分間で比較すると最大50倍程度の違いがあった。今後はこれらの結果を踏まえて、l-x関係の、林令,樹種,密度などの要因との関連の検討、および時間経過に伴うl-x関係の変化の追跡を行う必要があるだろう。
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