研究概要 |
昭和62年度は, 森林の伐採・焼却後の2年目の二次植生及び土壌の理化学性の遷移, 萌芽再生力, 熱帯有用樹の適応性等について研究した. その結果, 次の知見が得られた. 1.強度に焼却された箇所の二次植生は2年目に発生し, そのほとんどが1年生草本であることが判明した. このことから, 焼却度の程度が植生回復に影響を及ぼしていることがわかった. 2.二次植生の出現種数は前植生の残存種と侵入種を合わせると対照区, 焼畑区においてそれぞれ69〜79種, 72〜77種で年による増減があり, 種の消長では各試験区とも1年目に出現した1年生草本の消失とシダ, ツル性, 木本植物の発生, 及び前植生の萌芽の難易と生長速度等のちがいによる変動がみられる. また, 各試験区とも植生の上層高は1.2〜4mで植被率とも1年目より著しく増大しているが, ハマセンダン, イイギリなど先駆植物の消失は少ないようである. 概観上はやぶ状の細形立木からなる高密度林分である. 3.熱帯有用樹の生存率は, 対照区, 焼畑区でそれぞれタイワンフウ87%, 90%, タンワンハンノキ57%, 61%, ジャイアントギンネム72%, 82%となって, いずれの樹種も焼却区においてよいことがわかった. 4.熱帯有用樹種の植栽後2年目の平均樹高は, 対照区, 焼畑区でそれぞれタイワンフウ171cm,183cm,タイワンハンノキ148cm,218cm,ジャイアントギンネム130cm,159cmで, いずれの樹種も焼却区においてよいことがわかった. 5.土壌の理化学性は, いずれの試験区でも伐採前に比較して伐採・焼却直後の変化が大く, 時間の経過とともに, 伐採前の値に近似してくる. このことは, 伐採によって地表面の有機物が急速に分解し, また, 焼却によって生じた灰分が土壌中に浸透したためと推測される. とくに焼却区における化学的成分の増加が著しかった.
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