研究概要 |
1.鶏卵を常暗(DD)常明(LL)12L:12Dの3條件下で孵卵し、松果体のメラトニン含量をラジオイムノアッセイで調べた結果、孵卵17日以降メラトニン量は増加したが、昼低く夜高いサーカディアンリズムは認められなかった。一方孵化後では、12L:12D光條件下で孵化2日後に暗期が明期より5倍高いリズムが出現し、これが継続した。しかし、孵化後のLLおよびDD條件では、孵化2,4,6,9,13,21日のいずれの雛でも夜高く昼低いリズムはなかった。 2.孵化後1日目に松果体を除去したニワトリ雛を12L:12Dの光周期下におくと、16,29,65および100の各日齢において、暗期に高く明期に低い血漿メラトニンのリズムは消失した。再度の実験でも、13日,60日,90日齢にリズムが消失していることが確認された。 3.暗期を12時間延張するか、明期を12時間延張して昼夜を逆転すると、14日齢の幼雛では、血漿メラトニンリズムは始めの暗期に出現せず、2回目の暗期から出現したが、72-82日齢の中雛および400-450日齢の成鶏では、最初の暗期に血漿メラトニンリズムが出現した。これは、松果体細胞の明暗リズムの記憶が、加齢により低下するためと考えられた。 4.明暗リズムを持ったニワトリを常明(LL)光周期下におくと、14日齢の雛では2日目の夜に相当する時刻にメラトニンが高くなりリズムが出現したが、70日齢の中雛や150日齢の成鶏では、常明でも最初の夜に相当する時刻に高くなるメラトニンリズムが見られた。常暗(DD)光周期下におくと、日齢に関係なく、夜に相当する時刻に高くなるメラトニンリズムが最初の日から出現した。このことから、松果体の光に対する感受性が幼雛において高く、加齢によって低下することが示された。もた成鶏を8L:8Dや、18L:18Dの暗明光周期においても血漿メラトニンリズムはこれに同調せず、24時間のリズムが維持されていた。
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