研究概要 |
1.ラットにおける体外受精:体外受精後2-細胞期に達した胚を偽妊娠雌に移植した結果、8匹の受容雌のうち5匹から計16匹(雄9,雌7)(移植卵数の27%)の産子が得られた。つぎに未熟卵胞卵の体外培養条件を検討した結果、BSA(4mg/ml)およびFCS(10%あるいは20%)の添加培地で培養された卵胞卵の体外受精率はそれぞれ19〜20%および50〜91%であったが、分割卵の全侵入卵に対する割合は、FCS(50〜52%)よりもBSA(90%)の添加培地で培養された卵胞卵において高かった。 2.牛卵胞卵の体外受精:授精前の卵胞卵の成熟培地として修正KRB液よりもHEPES緩衝TC-199(H-TC)液を用いた方が成熟率が高いこと、また精子を10mMカフェインを含む培地で洗浄することにより受精能獲得誘起が可能であること、さらにこのカフェインの効果は修正KRB液よりもBO液(ウサギ卵子の体外受精用培地)において高いことを見出した。これらの結果に基づいて、6頭の種雄牛から得た凍結融解精子をカフェイン加BO液で2回洗浄後、同液で再浮遊した精子液50μlを20mg牛血清アルブミン(BSA)/mlで含む50μlのBO液に移し、39℃,5%【CO_2】,95%空気の条件下で約5時間przincubationした。牛胎児血清(FCS)10%を含むH-TC液(0.1ml)で20〜22時間前培養された卵胞卵に授精した結果、1頭の雄牛からの精子では平均83%の高い受精率が得られたが、他の5頭の雄牛の精子では0〜25%の受精率しか得られなかった。このような個体差は、個々の雄牛からの凍結精子の人工授精による受胎率の差を反映しなかった。 不成功に終った山羊卵子の体外受精および当初予定していた体外受精卵の培養については残された課題となったが、今後も引続き検討を進めたい。さらに、低受精率しか得られなかった種雄牛精子について受精率を高める方法の開発も重要な課題と思われる。
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