研究概要 |
1.アカバネウイルス実験的感染鶏胎児における筋症と脳症(昭和60年度実施) アカバネウイルス感染6日令の鶏胎児の原発性病変は脳炎性変化と筋炎性変化であった. 脳炎性変化は大脳欠損(hydranencephaly)に進展し, また筋炎性変化は関節弯曲症を伴う筋異形成および筋無形成に進展した. 15日令胎児の感染では, 脳炎性変化だけが観察された. ウイルス感染による炎症性刺激が胎生期間中に異形成性変化に発展することが実証された. 2.アカバネウイルス実験的感染ハムスター胎児における大脳欠損と多発性筋炎(昭和60年度, 61年度実施) 経胎盤感染ハムスター胎児の中枢神経系において原発性病変は脳炎性変化であった. その変化は継発的に大脳欠損に進展するものであるが, 胎生期間が短いのでその進展過程が明瞭に観察された. 骨格筋においては管状筋線維の炎症変化が認められ, 胎生期間中持続していた. 3.大脳白質における腔形成, 側脳室拡張及び低形成性筋症を特徴とする先天性異常(昭和61年度, 62年度実施) この先天性異常は地方病的に発生し, 大頭症と脊柱弯曲を示す. 大脳白質は浮腫性で有髄線維が減少しており, 側脳室が拡張すると共に神経組織内に脳脊髄液を満す腔を形成する. 脊髄においては中心管に裂隙を生じていた. 白質における有髄線維低形成とみなす所見は認められず, 変性性変化が疑われた. 骨格筋は全身性に低形成を示していた. 特に脊柱弯曲部において顕著であった. この研究においては不明疾患の一つであったこの先天性異常の病理学的特徴を明らかにした.
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