研究概要 |
以下に述べる5種の遺伝性疾患についてそれらの病理学的ならびに遺伝学的特徴を明らかにした。。これら5種のうち、羽毛の白色化を起こすFayoumi鶏を除く4種についてはすでに近交系を確立し、モデル動物としての有用性が期待される。 1.糖原病【II】型ウズラ 日本ウズラの1系統PNN系に出現した翼の下垂および挙上困難を示す突然変異体を起源とする。血中および組織中のα-1,4-glucosidase活性の低下と全身諸臓器・組織における糖原の異常蓄積を特徴とする。常染色体性劣性遺伝子により支配されている。 2.癲癇様発作を起こすFayoumi鶏 Fayoumi種をもとに育成された3系統(PNP,FS,GSP)の鶏群に散発した変異体を起源とする。脳血管系における血液循環障害を裏づける変性々変化と頚部脊髄神経の脱落を特徴とする。常染色体性劣性遺伝様式をとる。 3.ミエリン形成不全ハムスター全兄妹交配で維持されているAPG系シリアンハムスターに出現した、体毛の黒色化と振戦を特徴とする変異体を起源にもつ。中枢神経系におけるミエリン合成に関与する酵素の遺伝的欠損を伴ったoligodendrocyteの異常分化が示唆されている。常染色体性劣性遺伝子により支配される。 4.減毛症ハムスター 近交系シリアンハムスターGN系に出現した変異体である。一次毛の減少と二次毛の低形成を特徴とする。常染色体性劣性遺伝子により支配される。 5.Feather amelanosisを起こす鶏 Fayoumi種の1系統であるYL系に出現した変異体である。リンパ球性甲状腺炎と羽におけるメラニン含有細胞に異常が認められる。遺伝性であるが、遺伝様式はまだ不明である。
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