研究概要 |
抗原特異的T細胞をin vitroで長期間培養することは、同系あるいは同一個体からの抗原提示細胞を用いることにより可能となり、限界希釈法でクローンを得る方法も確立された。これらのin vitro株をin vivoに移入する場合には、TCGFを用いて増殖させる必要があり、サルのT細胞の場合のT細胞増殖因子の研究はIL-2の精成までが完了した。マウスの実験系ではin vitroにおける各種T細胞サブセットの株の樹立と、そのin vitro性状の解析およびin vivoへの移入が試みられ、大きな発展がみられた。抗酸菌反応性T細胞クローンについては、結核死菌免疫リンパ節細胞からツベルクリン活性ペプチドでin vitro刺激し長期培養株を得、これの表面抗原をFACSで分析し、Lyt1,L3T4陽性,Lyt2陰性で結核菌抗原に特異的に反応し、IL-2,MIFを産生するThであることが確かめられ、抗原同時注射によりDTH足蹠反応の活性があった。このT細胞株を用いin vivoで肉芽腫形成能および抗菌活性を観察中である。方法は、ヌードマウスにBCG株を接種し、ついでT細胞株を静脈内移入し、2週後に観察した。5×【10^5】の細胞移入で肉芽腫形成がみられたが、宿主を摘脾しておくと肉芽腫は発現せず、in vivoでの抗原再刺激が必要なことが示唆された。抗菌活性については検討中である。パラミクソのセンダイウィルスについては、感染耐過マウスから抗酸菌と同様の方法でTh株が樹立された。また、脾から抗Lyt1血清処理細胞を同様に培養し、4株のLyt1陰性細胞が得られ、Tcサブセットと思われる。Th株については、IL-2産生性でhelper活性、DTH活性を持ち、細胞傷害活性を欠くものであった。これをip注射し、in vivo抗ウィルス活性を検討中であるが、少くともその1株は活性が認められた。以上のように、ヌードマウスの実験感染系で細菌,ウィルスに対しin vivo活性が認められ、今後の展開が期待される。
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