研究課題/領域番号 |
60480097
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研究機関 | 日本獣医畜産大学 |
研究代表者 |
本好 茂一 日獣畜大, 獣医畜産学部, 教授 (70011864)
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研究分担者 |
小山 秀一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助手 (20162084)
野村 信夫 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 講師 (20147862)
鈴木 勝士 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00125080)
石崎 良太郎 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (00112970)
内野 富弥 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (60060513)
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キーワード | 拡張型心筋症 / 乳牛 / 遺伝性疾患 / 心筋ミオシン |
研究概要 |
ウシの拡張型心筋症の家系調査を山形県上山市中心に行い、家系図等を作製し遺伝学的解析を行ったところ、常染色体性劣性遺伝様式を示すことが示唆された。また、心筋症の臨床像を把握するため患牛2例を搬入し、一般臨床症状,血液生化学的検査,心電心音図,超音波及び心カテーテル検査を実施した。その結果、一般臨床症状は典型的なうっ血性心不全症状を示し、下顎・胸垂等の浮腫が著明であり、胸水・腹水の貯溜も認められた。血液生化学的検査では、炎症像が認められず、創傷性心膜炎、心内膜炎等の心不全を呈する疾患との鑑別が可能であった。心電心音図検査では、QRS群の低電位化及びP波の持続時間の延長が認められた。T波の平低化及びQT時間の延長も見られた。心音図では、【III】音または【IV】音の過剰心音が出現した。また【I】音【II】音とも減弱し、心収縮力の低下が考えられた。超音波検査では、左室の拡大が著明であったが壁の肥厚は認められなかった。左室は壁の運動性が著しく低下しており、左室収縮性の低下が認められた。心カテーテル検査では、左室最大収縮期圧に著変は認められなかったが、左室拡張末期圧の上昇が著明であり、ここでも左室収縮期性低下が認められ、拡張型心筋症の病態の中心は、左室収縮性の低下にあると考えられた。 そこで、心筋収縮蛋白のミオシンを抽出しその特性を生化学的に解析し、心不全の病態を行ったところ、心筋ミオシンATPase活性の著しい低下が認められた。しかし、SDS-ポリアクリルアミドによるサブユニットの検討では、正常牛との差は見られず、今後ミオシンのHeterogeneityを検討するため、ミオシンに対するモノクローナル抗体を用いて分析をする予定である。さらに、遺伝的要因が認められたため、収縮蛋白について、DNA分析を現在行っている。
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