研究課題/領域番号 |
60480126
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
今井 昭一 新大, 医学部, 教授 (60013869)
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研究分担者 |
石橋 隆治 新潟大学, 医学部, 助手 (60184561)
吉田 豊 新潟大学, 医学部, 助手 (40182795)
仲澤 幹雄 新潟大学, 部医学, 講師 (80143759)
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キーワード | 【^(31)P】-NMR / 【^(23)Na】-NMR / 摘出心灌流標本 / 心筋虚血 / ATP / 無機リン / Dy【(TTHA)^(3-)】 / 心室拡張終期圧 |
研究概要 |
長時間にわたる心臓の灌流をNMR装置の中で行うのに必要な機械的並びに技術的な準備が整ったので本年は不可逆的障害を惹起すると考えられる長時間(3時間)虚血により心筋エネルギー代謝、心筋細胞膜イオン透過性にどんな変化が生じるかについて検討を試みた。標本は昨年同様ラットの摘出心灌流標本であるが本年は【^(31)P】-NMRに加え【^(23)Na】-NMRによる検討も行なった。 1.【^(31)P】-NMRによる心筋エネルギー代謝変化の観察 虚血30〜40分でATPピークの消失と共に心室拡張終期圧の上昇が観察された。細胞内無機リン(Pi)のピークは虚血6分位から明瞭に認められる様になり、虚血の進展につれ次第に増高すると共に高磁場側に移動したが(心筋細胞pHの低下。虚血30分前後に最低値6.0に達する)、虚血1時間半を過ぎる頃、新しいピークがより低磁場側に出現すると共に減少し始め、新ピークが時間の経過と共に大きくなるのに呼応して次第に小さくなった。3時間の時点で心筋を採取し過塩素酸抽出液について【^(31)P】-NMR測定を行うとPiに相当する唯一のピークしか観察されないので新ピークもPiのピークと考えられる。 2.【^(23)Na】-NMRによる細胞内Naの消長に関する研究 Dy【(TTHA)^(3-)】を灌流液に加え細胞外Naのピークを低磁場側にシフトさせて細胞内Naピークを記録した。より大きなシフトの得られるDy【(PPP)(_2^(-7))】を本実験に用いなかったのは、収縮抑制作用が強く心筋への適用は困難と判断した為である(昭和59年度一般研究A報告書)。細胞内Naのピークは虚血導入前の心筋では検出されなかったが、虚血30分前後から観察される様になり虚血時間の延長と共に大きくなり膜Na透過性の亢進が示唆された。今後は細胞外Naをできるだけ取り除くような工夫を加え虚血によるNaイオン透過性の変化につきより詳細な検討を試みたい。
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