研究概要 |
1.脳微小血管リポキシゲナーゼ ラット脳微小血管に膜結合性と可溶性の2つの12-リポキシゲナーゼ(12-LPG)を見い出した。以下その諸性質を列記する。 (1)種々の神経伝達物質の中でエピネフリン,セロトニンが12LPG活性を抑制したが、その作用は受容体機構を介するものではなかった。 (2)ストレプトゾトシン糖尿ラットの脳微小血管12LPG活性は20日目において60%増加していた。一方、血小板12-LPG活性は変化しなかった。又、副腎摘出ラットについては術後14日目においても著明な変化はみられなかった。 2.リポキシゲナーゼ生成物12-HETEの作用 12-HETEは脳微小血管のアデニレートシクラーゼ系,アンジオテンシン転換酵素,γ-GTP活性には影響しなかった。 3.脳微小血管のプロテインキナーゼ 脳微小血管上清にはcAMP依存性プロテインキナーゼ(Aキナーゼ)と【Ca^+】依存性プロテインキナーゼ(Cキナーゼ)活性をみとめた。12HETEはこのうちAキナーゼに対して強い抑制作用を示した。又、レチノイドがAキナーゼを抑制することもみいだした。 4.脳微小血管中の12リポキシゲナーゼ阻害因子 脳微小血管上清に12LPG活性を阻害する因子を見い出した。本因子の性状について種々検討を加え本因子が熱安定性の高分子化合物で、蛋白性のものであり中にヘムを有するであろうことを明らかにした。 5.血小板12リポキシゲナーゼ 脳微小血管12LPGとの比較検討において、血小板12LPGについてその諸性質を明らかにした。
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