研究概要 |
マウスrRNAは、約14,000塩基長の47S前駆体RNAとして合成された後、プロセシングを受け18S,5.8S及び28SrRNAへと成熟する。このプロセシング機構の分子レベルでの解析を行うため、マウスrRNAの合成開始点近傍のDNA断片(合成開始点から上流170塩基と下流291塩基)を含むプラスミドpMrSpと28SrRNAの5'末端を含む3.400塩基長のDNA断片(28SrRNAの5'末端から上流660塩基と下流約2.700塩基)を連結したミニジーンpMrSP/SSst(28A)を作成した。これを鋳型として用い、マウスFM3A細胞から調製したS100を酵素標品とし、in vitro転写系により20分間の反応で【^(32)P】-RNAを合成した。20分後、非放射化UTPを添加し、30分,60分とチェイスし、蓄積されるRNAの有無を検討した。その結果、28SrRNAの5'末端のプロセシングは検出されなかったが、28SrRNAの5'末端上流500塩基上流でプロセシングを受ける部位が在ることが見い出された。即ち、pMrSP/SSst(28A)DNAをHae【III】で切断したものを鋳型として用いると、470塩基長のrun-off転写産物が得られ、チェイスにより415,340及び230塩基長のRNAへと移行した。このうち、230塩基長のRNAは、pMrSPDNAを鋳型として用いた時にも見い出された。パルスチェイス法により、これらRNAが蓄積することから、プロセシングに関与するものと考えられる。pMrSP及びpMrSP/SSst(28A)DNAから合成されたRNAのプロセシング部位を、SIヌクレアーゼ保護マッピング法により塩基レベルで調べた。その結果、即に報告した18SrRNAの5'末端上流のプロセシング部位を含め、in vitroプロセシング系で見い出された切断部位近傍には、【C!T】GG【C!T】TG【C!T】という共通塩基配列が存在することが示唆された。又、核小体に局在する低分子RNAU3に、この部分と相補性をもつAAGCCG配列が見い出され、低分子RNAがプロセシングに関与する可能性が考えられた。
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