研究概要 |
マウスГRNAは, RNAポリメラーゼエにより約14.000塩基長の45-47S前駆体RNAとして転写された後, 数段階のプロセシングを受け, 18S, 5.8S, 及び28SГRNAへと成熟することが知られているが, その分子レベルでの解析は未だ進んでいないのが現状である. このプロセシング機構を解明するため, 先ずinvitroプロセシング系の開発を試みたところ, ГDNAの転写と共役及び脱共役化したプロセシング系として, 18SГRNAの5′末端上流105塩基上流でプロセシングが生じる系が得られた. このプロセシングはinvivoГRNAにも見い出された. そこで, このプロセシングに関与する因子及び識別シグナルとなる塩基配列の検索を行った. その結果, 転写に必要な因子とは別なプロセシングに関与する蛋白性因子の存在が見い出された. この因子は, 熱処理により失活し, マイクロコッカルヌクレアーゼ処理に抵抗性を示した. また, このプロセシング活性は, Mg2+及びNTPの要求性がなく, 40-80mM塩化カリウムに至適塩濃度があった. 一方, このプロセシングを規定するシグナル塩基配列を求めるため, プロセシング部位近傍の種々の欠失変異DNAをBAL31を用いて作成し, プロセシングが生じるか否かを検定した. その結果, プロセシング部位上流219塩基から下流26塩基の領域が必要なことが明らかとなった. この領域には, プロセシング部位をはさんで21塩基長から成るステム・ループの2次構造をとりうる配列があり, プロセシングシグナルとなる可能性を示唆した. 又, このinvitro系で, スペーサー領域に生じるRNA切断部位近傍には, GGYUUGYの7塩基から成る共通塩基配列が見い出されたことから, プロセシングに何らかの役割を担っている可能性を示唆した. 以上のように, 18SГRNAの5′末端上流105塩基のプロセシングを見い出し, それに関与する蛋白因子とプロセシングを規定する塩基配列を明らかにした.
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