研究課題/領域番号 |
60480140
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
立木 蔚 東北大, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006065)
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研究分担者 |
田村 真理 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (20124604)
菊池 九二三 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (20006117)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | プロテインホスファターゼ / 糖尿病 / 肝 / 骨格筋 / グリコゲン合成酵素 / グリコゲン / ホスホリラーゼ |
研究概要 |
われわれは糖尿病の病態把握と対策の確立を究極の目標として、同病における広範な糖・脂質代謝異常の"primary locus"であるプロテインホスファターゼを研究してきた。糖尿病時の異常を見ると、同じくプロテインホスファターゼの作用を受ける酵素であってもグリコゲン合成酵素のように異常の強いものと、弱いものとがあり、これは細胞内に複数種存在するプロテインホスファターゼの中で特定の分子種が、とりわけ強いインスリン支配下にある証拠と考えられた。それゆえわれわれはこのようなプロテインホスファターゼの特定と性状解明を、グリコゲン合成酵素を基質に用いて意図してきたが、本研究においては特に、ラット肝の顆粒画分に局在するホスファターゼ【IV】の糖製・性状解明と、先に肝細胞質の強力なグリコゲン合成ホスファターゼと同定したホスファターゼIAの特異な基質特異性解明に力を注いだ。まずホスファターゼ【IV】は肝のグリコゲン合成酵素をよく活性化し、顆粒画分のこの活性のほとんど全部を占める一方、ホスホリラーゼは脱リン酸しない。その活性は絶食で著減、再摂食で回復、糖尿病によっても大きく影響されるので、われわれが求める分子種と思われた。非SDSゲル電気泳動で単一蛋白バンドとして行動した精製標品は、粗酵素と同じくグリコゲン,ホスホリラーゼ【a!_】のフィードバック阻害を受け、またSDSゲル電気泳動から分子量約7万のモノマーと推定された。次に細胞質のホスファターゼIAについては、この酵素が天然の肝の合成酵素Dを速やかに活性化するにもかかわらず、天然の骨格筋の合成酵素Dをまったく活性化できないことが新たにわかり、このことから食餌性変動やフィードバック阻害こそないが、ホスファターゼIAも肝のグリコゲン代謝に大きな役割を演じていることが一層明らかとなった。なお骨格筋の合成酵素Dを活性化できたのは、これまでのところホスファターゼ【IV】のみであった。
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