研究課題/領域番号 |
60480142
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
桑野 信彦 大分医大, 医学部, 教授 (80037431)
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研究分担者 |
高木 良三郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (90038620)
小野 真弓 大分医科大学, 医学部, 助手 (80128347)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 低比重リポ蛋白 / コレステロール代謝異常 / 低比重リポ蛋白受容体 / 受容応答変異 / エンドサイトーシス / 体細胞遺伝変異 / レセプター病 / 高脂血症 |
研究概要 |
高コレステロール血症は最近低比重リポ蛋白(LDL)に対する受容応答が異なるために発症する"レセプター病"の代表的な疾病として最近知られている。しかし実際にはステロール代謝の異常をひきおこす原因は多岐にわたり生体内での病態の把握は複雑で困難である。そこでステロール代謝異常症の病態を単純化して分子レベルで把握するために我々は人為的に作成した同疾病のモデル細胞を用いてLDLに対する受容応答過程において各れの変異がステロールの代謝の変化をひきおこすかを調べることにした。その結果、 1.ハムスターCHO細胞由来のモネンシン耐性機はLDL受容応答活性か親株のCHOの1/3以下に減少している。それ故ステロール合成が著明に上昇。さらにLDL受容体の糖鎖構造の不全がおこっていることを観察した。以下の結果はゴルジ装置の突然変異によってLDL受容体の構造修飾の変化が生じステロール代謝の調節の異常をひきおこすことを示唆している。 2.マウスBalb/3T3細胞由来のモネンシン耐性株はLDLの細胞内とりこみ(エンドサイトーシス)が欠損しステロール代謝の亢進をひきおこしている。それ故LDLによる受容体のダウン調節もかかりにくくなっている。膜の修飾変異がLDLの細胞内とりこみの欠損をひきおこすことが期待される。 3.ハムスターV79細胞由来のコンパクチン耐性株はLDLの受容応答が変化している故にステロール代謝が著明に上昇している。LDL受容体活性が欠損しておりその分子量はV79に較べて減少している。さらに受容体の構造の不全変異がみられ受容体がきわめて寿命が短かくなっていることが見出された。現在その詳細な構造解析を進行させている。 これらLDL受容応答に関する変異細胞の解析を通じて、ステロール代謝疾病の新たな病因の可能性をさぐりつつある。
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