研究概要 |
1.毛細血管新生と周囲細胞(周細胞)との関係について:ヒト肉芽組織中の毛細血管新生の詳細を知る為に、肉芽中の毛細血管を、電顕的連続切片法及び免疫染色法によって検索した。その結果2つの細胞から構成される新生血管に於て以下の事が明らかとなった。a.初期毛細血管腔の形成は、分裂直後の2つの幼若な内皮細胞によって行われるらしい。b.新生血管内腔は血管形成のかなり初期に本幹血管内腔と交通を有する。c.本幹血管内皮細胞には数多くの周細胞腔からの細胞突起による陥入がみられるが、枝分れする新生血管を形成する内皮細胞ではこれを欠く。d.フアクター【VIII】は新生幼若血管内腔面には陰性。e.新生血管内皮細胞ではファクター【VIII】がゴルヂ装置,WeibelPalade小体に陽性,等が明らかとなった。 2.木村氏病に於ける血管新生と、周囲組織の特性について:木村氏病に於ける組織特性には肉芽形成と、リンパ瀘胞の形成がある。これらの病巣内血管の特異性を光顕電顕ならびに免疫組織学的に検討した。その結果以下の事が明らかとなった。a.肉芽内には内皮の丈の高い後毛細管静脈の増生と、その分枝が著しいが、リンパ節のそれと比較すると、リンパ球の通過を示唆する所見に乏しい。毛細血管壁では滲出性変化が強く、肥満細胞が壁周囲に多く分布し、更にT(OKT【4^+】),B(slg【D^+】,【M^+】)リンパ球の集検を示す。これらの所見は、免疫グロブリンlgEの関与せる免疫異常状態下に血管がおかれている事を意味するものと考えられる。b.リンパ瀘胞は毛細血管を軸に形成される。その初期像として血管周囲のFibroblastic Reticulum Cellの賦活化とDendritic Reticulum Cell1の移行が示唆され、血管を中心として胚中心の形成、そして二次リンパ瀘胞形成が進展する事が示唆された。
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