研究課題/領域番号 |
60480159
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴木 守 群大, 医学部, 教授 (60056033)
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研究分担者 |
杉岡 由美子 群馬大学, 医学部, 助手 (10179137)
脇 誠治 群馬大学, 医学部, 助教授 (10056286)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | マラリア原虫 / 放射線照射 / 弱毒化 / マラリアワクチン / モノクローナル抗体 / ウエスタンブロット / ラジオフルオログラフィー / 二次元電気泳動 |
研究概要 |
マラリアワクチンを開発することは、現在緊急課題として各国で研究されている。マラリア感染の特徴として短期間内に何度も感染をくり返すことがあげられる。すなわちマラリアに対して防御免疫は、自然界でみるかぎり、きわめて成立しにくい。この障壁をのりこえて感染に対しての防御免疫を有効な形で作りだすことに成功すれば、マラリアワクチンの開発が可能となる訳である。われわれは、放射線照射により変異をおこし弱毒化した原虫が、感染マウスに、強力な免疫力を賦与することを見出した。そこで、変異株のもととなった強毒原虫NK65と、弱毒変異をとげた原虫XATとの間に、分子レベルでいかなる差があるのか。さらにその分子の差を規定している遺伝子をとらえて、毒性に関与した原虫の因子を遺伝子レベルで検討する事を最終目標として実験をすすめ、以下の知見を得た。毒性と弱毒化ということは生体に対する免疫賦与を原虫がそれぞれどの程度行うかによってきまるので、免疫賦与物質の追求、ワクチンの研究とうらはらをなす課題である。モノクローナル抗体を弱毒化したXAT株に多数作成し、その中からXATに対しては反応するが強毒株NK65には反応しないD3-1A12を選別した。XATを【^(35)S】メチオニンで標識し、D3-1A12に結合する物質をラジオフルオログラフィーでしらべたところ分子量240Kdの分子が規定された。この分子は、原虫の分裂体の一時期にのみ出現する弱毒株特有の分子である。また、ポリクローナル抗体を使ってウエスティングブロットを行った結果、弱毒化によって失われる分子量30Kdのタンパク質が見出された。二次元電気泳動法により、この分子はアミノ酸配列の解析が可能なまでに純化された。放射線照射により原虫が弱毒化することが、一般性のある実験結果であったことがP.yoelii nigeriensisを使った弱毒株再現実験により確認された。
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