研究概要 |
1.Esherichia coliのB株およびK12株の種々の変異株を用いて、補体による殺菌作用に対する感受性を検定する方法を検討し、種々の培養條件および反応条件下での殺菌反応を、生存菌の集落計測法およびマイクロタイター法により簡便・迅速に検定出来る方法を確立した。 2.補体低抗性をE.coliに与えることがわかっているF因子やR因子プラスミドのTra T遺伝子産物の影響をしらべるために、東京大学・応用微生物研究所の大坪栄一教授の協力を得て、Tra T遺伝子を含むプラスミド断片をpUC19プラスミドに挿入した種々のプラスミドを、E、coli B株およびK12、W3110株に導入し、これらの菌株と、それぞれの親株にpUC19を導入したものについて、補体に対する感受性をしらべ、Tra T遺伝子導入株では補体感受性が低下していることを確かめた。 3.上記の菌株を用いて、種々の精製ヒト補体成分(C3,C8,C9等)を【^(25)I】標識したものを加えたヒト補体血清で処理し、菌体へのこれら成分の結合を解析中である。 4.更に、Tra T産物(多分、菌体外膜蛋白)を分離、精製して、この成分の補体活性化途上での抑制制御機構をしらべる為に、現在、菌体膜成分の分離、溶解を試みている。 5.尚、グラム陽性菌に対する補体によるオプソニン作用に対する抵抗機構についても、Streptococcus pyogenesのA群菌を用いて菌体表層に存在するM蛋白の補体の活性化に対する制御機構を検討中である。
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