研究概要 |
1.塩基性蛋白(CAP)の精製程度:ウサギ腹腔顆粒球より、クエン酸抽出,エタノール沈殿,高速液体クロマトにより分子量5万〜6万および1万以下の2つの活性画分を得た。 2.CAPによる内毒素(LPS)感作赤血球凝集反応(CAP-HA):CAPはRe-LPSで感作したヒト、ヒツジ、マウス赤血球を凝集させた。感作に用いたLPSの構造との関係では、CAPの活性はR型LPSに対して強くS型LPSに対して弱かった。また、R型LPSのR変異の程度に依存して高まった。CAP-HAは、CAPとS〜Re-LPSまたはリピドAとのインキュベーションにより抑制された。一方、CAPとRe-LPSとのインキュベーションにより、Re-LPSの赤血球膜への結合能が失なわれた。 3.CAPとLPSとの結合性:CAPとRe-LPSとを混合すると、CAP濃度に依存して混合液の濁度が増加した。こと濁度の増加は低イオン強度の条件下で著名であり、至適PHは6〜7であった。CAPとRe-LPSの混合液の濁度が最も高く、ついでCAPとリピドAであり、S-LPSとでは濁度増加の程度は弱かった。また、CAPとRe-LPSとの結合は可逆的であった。この実験から、CAPはRe-LPSのKDO-リピドA部分とイオン結合および疎水結合を介して結合し、その結果疎水性が高まり不溶性の複合体が形成されること、このことが上記CAP-HAの原因となることが明らかとなった。 4.CAPの抗菌活性:S.typhimurium,S.minnesotaに対して抗菌活性を示した。等張の条件下ではCAPの抗菌活性はRe菌に対して強かったが、低張の場合はS,Re菌に同程度の活性を示した。すなわち、CAPの抗菌活性は溶媒のイオン強度により大きく異なり、CAPと細菌との結合能の差に支配されることが示された。
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