(1)各種Lyt-【1^+】【2^-】T細胞のアッセイ系の樹立:以下に列挙する如くVaccinia Virusに対する種々のLyt-【1^+】【2^-】T細胞応答を検出する系を樹立した。(a)リンパ球芽球化反応、(b)遅延型過敏症(DTH反応)、(c)各種ヘルパーT細胞活性(CTLヘルパー、Bcellヘルパー、DTHヘルパー)、(d)各種リンホカイン産生(MAF、IL2) (2)Lyt-【1^+】【2^-】T細胞の抗原認識機構:Ia抗原を有しないX5563骨髄腫に対するキラーT細胞(CTL)活性の誘導系を用いてLyt-【1^+】【2^-】T細胞(ヘルパーT細胞)の抗原認識機構を解析した。ヘルパーT細胞の活性化には【Ia^+】抗原提示細胞(APC)が必要であり、Lyt-【1^+】【2^-】ヘルパーT細胞はAPC上の自己Ia抗原と腫瘍抗原と共に認識する。この際、腫瘍抗原はX5563細胞表面より遊離し、APCに取り込まれ修飾(Drossing)を受けた後に自己Ia分子とともに提示されることが明らかとなった。 (3)Lyt-【1^+】【2^-】Tcell-mediated in vivo immunityの人為的制御とその応用:C3H/He脾細胞をBALB/cに静脈内投与すると皮下投与と同程度の強い抗C3HDTH反応が誘導された。一方同じ3アロ脾細胞を門脈内に投与したところDTH及び反応は誘導されないのみならずその後引き続き皮下投与による適切な免疫操作を施してもDTH反応は誘導されず、アロ抗原の経門脈感作によってアロ抗原に対するDTH反応を寛容に導く事を発見した。又、C3H/He脾細胞を門脈内移入されたBALB/cマウスは、抗C3H/HeDTH反応を誘導出来ないが抗C3H/He抗体産生とCTL生成は誘導出来、その結果、BALB/CマウスはC3H/He由来のX5563腫瘍の拒絶が出来る。しかしながらC3H/He脾細胞門脈内移入後Cyclophosphamide(Cy)を投与するとX5563腫瘍の拒絶が出来なくなる事がわかった。Donor-specific trans fusion(DST)+免疫抑制剤の投与による移植免疫能の抑制法が臨床的にも効果をあげているが、本研究でDSTに相当するアロ抗原の静脈内移入+Cy投与に比し、門脈内移入+Cy投与が法がはるかに強い移植免疫能の抑制法である事が明らかになった。
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