研究概要 |
食事摂取形態は地理的要因および歴史的要因によって支配される社会環境の変化に応じて微妙な変化を積み重ねている。これらの変化は個人の嗜好の変化や食習慣に抵抗して次第に大きな変革をもたらし、病病罹患に影響をあたえる。食事摂取パターンの年代別推移と各種癌死亡率の関連を検討することによって、各種癌の発生に及ぼす食事摂取形態を明らかにする必要がある。 このために、昨年度から癌死亡率に特徴を有する全国25市町村の国保加入者のえち、30才より69才までの男女、および生活習慣の特異なモルモン教会加入者のうち、同年令層のものについて、10才代から現在までの10年代毎の60種目の食品摂取頻度を調査し、各個人ごとにそのデータをコンピュータに入れる作業を行い、本年度もその作業を継続した。この作業は現在までにかなり進行し、岩手県大迫町、秋田県協和町、石川県富来町、奈良県榛原町、広島県音戸町、佐賀県神崎町・千代田町・芦刈町、長野県国見町、大分県蒲江町、鹿児島県米の津町・高尾町の各町村、およびモルモン教会員の総計25,766名について、各町村ごとに、食品種目ごとの摂取実数値の性別年台別に各年代毎の平均および標準偏差、また、これら摂取食品から算出した陽性化食品点数および陰性化食品点数の性別・年台別の分布状況ならびに平均値および標準偏差を打ち出すことができた。さらに、被検者個人ごとに陽性化食品点数・陰性化食品点数ならびに、これらの点数に貢献度の大きかった食品種目も打ち出すことができ、調査後の個人指導にも役立てるデータファイルを作成できることが知られた。 最も食生活パターンの異なるモルモン教徒の場合をみると、胃癌死亡高率地区はもちろん、低率地区に比しても、陽性化点数が低く、陰性化点数の高い特異的な食事摂取パターンがみられ、低率な癌死亡との関連を示唆するものと考えられ興味深い。
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