研究概要 |
黒質一線条体ドパミン神経系はその変性がパーキンソン病の主病因であると考えられているが、このドパミン神経系が線条体でどのような機能を果たしているか不明の点が多い。私どもは黒質-線条体ドパミン神経がどの神経伝達物質あるいは神経活性物質を含有する線条体ニューロンにシナプス入力しているかを明らかにするため、ドパミンのマーカーにその生合成酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の抗体を用い種々の神経活性物質に対する抗体と組み合わせて免疫組織化学的に実験を行なった。 1.免疫電顕ミラー法を用い黒質-線条体ドパミン入力線維と線条体エンケファリンニューロンとのシナプス相関について検討した。ラット線条体ニューロンのうち35-50%がエンケファリン陽性を示しこれらの大部分がTH陽性の神経終末よりシナプス入力を受けていることを超微形態学的に明らかにした。 2.免疫電顕ミラー法を用いて線条体サブスタンスPニューロンとドパミン入力線維とのシナプス相関について検討した。線条体ニューロンの30-35%がサブスタンスP陽性を示し、それらのおよそ3分の2がTH陽性のドパミン神経終末よりシナプス入力を受けていることを明らかにした。 3.免疫電顕ミラー法を用い線条体GABAニューロンと黒質-線条体ドパミン入力とのシナプス相関について検討した。GABAは抑制性伝達物質として知られているが、線条体ニューロンの約半数がGABAの生合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素を含有しており、中型投射型,中型介在型,大型1型,大型2型の4種類のGABA性ニューロンを同定した。これら全種類のGABAニューロンの半数以上が黒質ドパミン入力線維よりシナプス入力を受けていた。またGABAニューロンの全てが同時にGABA性入力を受けていた。 4.免疫電顕二重染色法を開発し実用化する予定である。 5.以上の結果を学会や学会誌などに発表または発表予定である。
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