研究課題/領域番号 |
60480205
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
本間 光夫 慶応大, 医学部, 教授 (20051047)
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研究分担者 |
富井 正邦 慶応義塾大学, 医学部・内科学教室, 助手 (20129547)
富永 教洋 慶応義塾大学, 医学部・内科学教室, 講師
中山 昇二 慶応義塾大学, 医学部・内科学教室, 客員教授
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キーワード | 自己免疫性疾患 / SLE / 膠原病 / DNA |
研究概要 |
臓器非特異的自己免疫疾患の代表として、全身性エリテマトーデス(SLE)を取り上げ、対象症例とした。SLE以外の全身性自己免疫疾患症例(混合性結合組織病、多発性動脈周囲炎)、消化管外科手術直後症例を含む非自己免疫疾患症例、健常人を対照とし、それぞれの血漿を試料とした。 1.血漿DNAの性状。活動期SLE症例より抽出した血漿DNAは、酵素処理法、サザンハイブリダイゼーション法より、Alu family DNA塩基配列を有するヒト由来二本鎖DNAであることが確認された。かかるDNAは、全身性の炎症所見が強く認められ、組織破壊の進行が考えられる非SLE症例、および外科手術直後症例でも認められた。 2.血漿DNAと抗DNA抗体の反応性。SLE症例で、血漿DNAと自己IgG抗DNA抗体との反応性を、固相ラジオイムノアツセイ法の競合的抑制試験で調べた。血漿DNAは自己IgG抗DNA抗体と反応性を有することが示された。 3.血漿DNA濃度の経時的推移。ハイブリダイゼーション法で各種濃度のヒト胎盤DNAにより標準曲線を作成し、これにより血漿DNA濃度を求めた。血漿DNA試料を、時期をかえ再測したところ、測定値差は5%以内で再現性が認められた。この方法で血漿DNA濃度を経時的に測定すると、初回測定時より20日後にも血漿DNAが検出されるSLE症例があった。この症例では、ステロイド剤未投与の初回および第2回測定の9日目までに、血漿DNA濃度は80から350ng/mlに増加したが、同剤投与7日後の第3回測定時(20日目)には72ng/mlと低下した。Raji細胞法による流血中免疫複合体量は、初回および第2回測定時には低値であったが、第3回測定時には高値を示した。また、臨床活動性は持続し、1日尿蛋白量は0.6から2.3gに増加した。非SLE症例の外科手術直後例では、2日以内に血漿DNA陰性となった。
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