研究課題/領域番号 |
60480206
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀郎 産業医大, 医学部, その他 (60010120)
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研究分担者 |
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 助手 (10158967)
大田 俊行 産業医科大学, 医学部, 講師 (10140930)
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キーワード | 自己免疫疾患 / SLE / マクロファージ / サプレッサーT細胞 / インターロイキン1 / HLAーDR抗原 / 抗単球抗体 / 補助機能 |
研究概要 |
全身性自己免疫疾患の代表である全身性エリテマトーデス(SLE)では、抗体産生を調節している免疫調節系の機能不全、とりわけサプレッサーT細胞の機能低下が重要視されてきた。最近、サプレッサーT細胞の作用発現にマクロファージの補助機能が必要であり、マクロファージの存在しない条件では、サプレッサー活性が誘導されない事が報告された。この点に注目して、SLE患者のマクロファージの補助機能を、T細胞活性化(ConAによるDNA合成反応)を指標にして測定したところ、患者群は正常健康人に比べ末梢血単球の補助機能が有意に低下していた。なかでも、活動期患者群で著明な低下が認められ、治療により非活動期になると単球の補助機能も改善していた。この単球の補助機能低下、改善に伴なってサプレッサーT細胞活性も低下から改善が認められた。T細胞活性化における単球の補助機能は、単球が産生する免疫反応調節性液性因子であるインターロイキン1(IL1)と単球表面上に存在するHLAーDR抗原が重要な役割をしている事が知られている。SLE患者では単球のIL1産生不全と、HLAーDR抗原を有する単球の減少ならびに発現されているHLAーDR抗原量の減少が存在した。更に、HLAーDR抗原陽性単球の減少は、SLEの活動性、検査成績なかでも抗DNA抗体、補体価(【CH_(50)】)、免疫複合体の変化と相関する事が判明した。このように、免疫反応の誘導に重要な役割をしているHLAーDR抗原陽性単球の異常がSLEで存在し、これがT細胞機能異常をもたらしている事が判明した。SLE患者の単球機能異常の原因を解析している段階で、患者血清中に単球に特異的に反応して細胞障害性、機能障害をもたらす自己抗体(抗単球抗体)の存在を見い出し、現在、更に解析を進めている途中である。
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