研究概要 |
1.コラゲン産生とマクロファージ:(1)ジメチルニトロサミン投与にて作成した線維肝に、アラビアゴム,ローカストビーンガム,プルラン,α-スターチ,ラテックス等高分子物質を投与して、コラゲン産生に対する影響を観察した。アラビアゴム投与群では、肝組織上、線維増生部位に空胞肥大化したマクロファージの集積が見られた。肝内コラゲン産生は抑制され、またマクロファージのスーパーオキシド産生能亢進が観察された。しかし、他群では組織上も同様の所見は得られず、肝コラゲン量の変化も見られなかった。(2)線維芽細胞とマクロファージの共培養では、全蛋白合成は亢進するが、コラゲン産生は低下していた。 2.スーパーオキシドの消去酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)を用いて肝内コラゲン産生に対するスーパーオキシドの関与を検討した。ジメチルニトロサミン障害肝の修複過程にSODを静注したが、有意な差は観察できなかった。 以上、マクロファージはコラゲン産生に対し抑制的に作用していることが示唆された。アラビアゴム投与によってのみ強調され、線維増生部位に集積する活性化されたマクロファージの意義は不明であり今後検討を要する。スーパーオキシドのコラゲン産生に対する関与は、In vivoの実験では示すことができず、In vitroに移して肝より単離した線維芽細胞を用いて、各種障害肝より分離したクッパー細胞との共培養を行い検討中である。
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