研究課題/領域番号 |
60480216
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
草間 昌三 信大, 医学部, 教授 (70020708)
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研究分担者 |
酒井 秋男 信州大学, 医学部, 助手 (70020758)
上田 五雨 信州大学, 医学部, 教授 (10020702)
久保 恵嗣 信州大学, 医学部, 助手 (80143965)
小林 俊夫 信州大学, 医学部, 講師 (80020775)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 高地 / 肺水腫 / 人工気象室 / トロンボキサン【A_2】 / 減圧 / 脱窒素 / 肺空気塞栓 |
研究概要 |
1)高地肺水腫実験モデルとしての肺微小空気塞栓における肺血管傷害-トロンボキサン【A_2】の役割- 肺空気塞栓実験を慢性肺リンパ瘻を作製した緬羊を用いて行ない。その結果、肺空気塞栓により、塞栓中の肺動脈圧および肺血管抵抗の増加,塞栓中および中止後の肺リンパ流量の増加がみられた。空気塞栓中、血漿および肺リンパ液中Tx【B_2】濃度は有意に増加した。Tx【B_2】濃度は血漿中より肺リンパ液中で高く、血漿では塞栓中に肺動脈血より左房血で高いことより、Tx【A_2】の肺での産生が推測された。選択的トロンボキサン合成酵素阻害剤であるOKY-046で前処置することにより、肺空気塞栓によるTx【B_2】濃度の増加は抑制されたが、肺動脈上昇は抑制されず、肺リンパ流量増加が軽度抑制された。以上の結果より、肺空気塞栓による血管傷害におけるプロスタノイドの役割が明らかになった。また、ひきつづいた実験として、cyclic AMPの肺血管傷害における役割を解明している。 2)人工気象タンク装置を用いた6,600m高地性環境下における肺リンパ動態および脱窒素の効果 覚醒立体緬羊を6,600m相当の高地性環境に暴露すると、肺リンパ流量の増加するが、この際導入時より酸素吸入により、暴露中の低酸素の影響をさけても同様に増加することを明らかにした。この肺リンパ流量の増加は気圧の低下に起因することが考えられ、100%酸素吸入により、体内溶解窒素などの不活性ガスを除去せしめ、減圧性気泡の発生を抑制して同様の高地性環境に暴露したところ肺リンパ流量は増加しなかった。急性高地性環境暴露による肺リンパ流量の増加の要因としての減圧性気泡の関与を明らかにした。この点、高地肺水腫における病態における低圧の役割の一端を明らかにしたといえる。
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