研究概要 |
多発性硬化症(MS)およびヒト脱髄性疾患における病巣進展の機序を明らかにする目的で、脱髄病巣を三次元的に分析する。また、用いた三次元解析装置の他方面への応用を検討した。 1、MS脱髄病巣の検索 (1)8例の自験MS剖検例の中枢神経組織のホルマリン固定パラフィン標本をmylin basic protein(MBP),glial fibrilary acidic protein(GFAP)およびPo糖蛋白に対する抗体にて免疫染色を行った。同一標本の連続切片をヘマトキシリン・エオジン染色および血管の同定の目的でビオチン化Ulex Europaeusを用いて染色した。 (2)MS剖検例のうちでも脱髄病巣が同心円様分布を示す例において、約千枚の連続切片を作成し、MBPにて免疫染色を行い、同心円様分布を三次元的に解析する材料とした。 2、写真三次元装置による分析 (1)MS脱髄病巣 (a)脱髄病巣の分布は脊髄や脳室などの大きな組織との関係ではとらえられたが、血管走行との関係や炎症細胞の分布との関係での分析は技術上の困難があった。この困難性は三次元解析装置の分析能力の問題とドッド表示のプログラムが完成していない点によるものである。 (b)同心円様分布の脱髄病巣(脊髄病巣例)は脊髄の灰白質の中心部を同心円の中心として楕円球形に灰白質、白質の別なく分布していることが明らかになった。 (2)他方面への応用 定位脳手術適応になる脳腫瘍の部位決定や形状の変化およびアプローチの決定に現在応用中である。
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