研究概要 |
第一次感覚ニューロンは、表在および深部感覚機能および内臓感覚機能に重要な役割を果している。本研究では、第一次感覚ニューロンを同一個体の腓腹神経、神経根、神経節の3つのレベルで、有髄線維または神経細胞体を組織定量的に分析し、 1)各レベル別にどのようなsubclassの神経線維、神経細胞体が存在するか、 2)キャプサイシン投与ラットでどのようなsubclassの神経線維、神経細胞体が変性・脱落するかを明らかにすることを目的とした。 腓腹神経では、大径(>4.3μm)、小径(≦4.3μm)有髄線維および無髄線維が660±118/神経(平均値±標準偏差)、377±46/神経および3,856±570/神経存在する。第3仙髄後根では、大径(>6.3μm)、小径(≦6.3μm)有髄線維および無髄線維が、641±82/根、667±126/根および3,303±541/根存在する。第3仙髄後根神経節では、大径(<21μm)、小径(≦21μm)神経細胞が613±115/神経節、1,684±72/神経節存在する。生後48時間以内にキャプサイシン50mg/kgを一回皮下投与したラットでは、腓腹神経において、無髄線維数1,232±233/神経と有意の低下(P<0.0001)が、第3仙髄後根において、小径有髄線維542±81/根と有意の低下(P<0.04)、無髄線維895±245/根と有意の低下(P<0.0001)が、第3仙髄後根神経節において、小径神経細胞860±285/神経節との有意の低下(P<0.0003)が認められた。すなわちキャプサイシン投与ラットでは小径ニューロンがかなり選択的に変性・脱落すると結論された。第一次感覚ニューロンの異なったレベルにおける組織定量的な分析は、ヒトおよび実験動物における末梢神経障害の病的過程と発症機序の解明に不可欠である。
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