研究課題/領域番号 |
60480228
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢崎 義雄 東大, 医学部, 講師 (20101090)
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研究分担者 |
土持 英嗣 東京大学, 医学部, 医員 (90197715)
磯部 光章 東京大学, 医学部, 助手 (80176263)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 心筋ミオシン / モノクローナル抗体 / ミオシンアイソザイム / 胎児型ミオシン / 梗塞画像診断 / 右室梗塞 |
研究概要 |
特異性が高く、均一な結合特性を有するモノクローナル抗体を用い、心筋の収縮の最小単位である筋原線維を構成し、収縮機序の中心的な役割を担っている心筋ミオシンを指標にして、心疾患における心筋の病態生理の解明と、その診断学への臨床的応用を行った。本研究は2つの大きなプロジェクトに分けることができる。 (1)モノクローナル抗体により、ヒト心筋ミオシンにはαタイプと3つのβタイプのアイソザイムが存在すること、そして個体発生の過程や圧負荷などの病態時に、その時心筋に加わっている負荷に最も適したアイソザイムが生合成されて変換することを示した。すなわち、圧負荷による心肥大形成時には、エネルギー効率のよいβタイプミオシンに変換し、増加するエネルギー消費量に適応する。さらに、胎児期に優位に存在する胎児型ミオシン(Bf)が存在し、成人心筋ではその生合成が抑制され、圧負荷によっても決して発現が促進されないが、心筋症の心筋では胎児と同様に著しく発現する注目すべき事実を発見した。これは心筋症を生化学的に診断しえるはじめての所見である。その病態における生理学的な意義は今後の検討による解明が期待される。 (2)心筋ミオシンに対するモノクローナル抗体が、梗塞部心筋に存在する筋原線維に結合して集積することを応用し、心筋梗塞の特異性に優れた画像診断法を開発した。従来の【^(99m)Tc】ピロ燐酸法と異なり、骨への集積を認めず、また正常心筋にも集積をみない極めて特異性の高い梗塞部心筋の画像がえられた。イヌの実験的心筋梗塞で検討した結果、SPECT法で描出した画像から算出した梗塞量と、病理組織学的に測定した実際の梗塞心筋量がよく一致し、定量性にも優れた画像診断法であることが明らかとなった。さらに従来から診断が困難であった右室梗塞や心内膜大梗塞も的確に診断できる可能性が示され、その臨床的な有用性が注目される。
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